横山秀夫 64 ロクヨン

横山 秀夫
文藝春秋
(2012-10-26)

横山秀夫さんの『64(ロクヨン)』を読みました。

ストーリーは昭和64年に起きたD県警史上最悪の誘拐殺害事件を巡り、
刑事部と警務部が全面戦争に突入。広報・三上は己の真を問われるという
究極の警察小説。

横山さんの作品は何冊か読んだ事がありますが、
ドラマで観る方が多いですが、それでも良い作品ばかりなので
この作品も期待して手に取りました。

警察内部のこんなに赤裸々に描かれている作品は初めてかもしれないです。
今まで知らなかった事もここでは知ることができました。
主人公の三上は広報課に所属していますが、
この広報課も同じ所轄の警察の一部なのにまるで扱いが違うのには驚きです。
特に刑事部や高官いわゆるキャリアと呼ばれる人達とは
待遇が違うので同じ仕事のやり取りを見ているだけでも
態度が違うので苛々としてしまいました。
まさに踊る大捜査線の青島のように
「事件は会議室で起きているんじゃないんだ 現場で起きているんだ」
と言いたくなる気分でした。

広報課というのは事件などがあった場合に記者クラブなどに
事件の状況などを知らせる窓なのです。
警察と世間の壁を唯一取り外せる場所でもあるのですが、
マスメディアは面白おかしく取り上げ、
事件が大きければ被害者にさらに被害を与え、
身内の事件は隠したり、小さく扱ったりしているという矛盾があります。
これらの矛盾を三上は警察という組織に疑問を呈しています。

前半はこれらの事が中心で、登場人物が多いので
誰がどの役職についているのか分からなくなってしまうほどですが、
中盤からは昭和64年に起きたD県警史上最悪の
翔子ちゃん誘拐殺人事件をめぐり、
刑事部と警務部が全面戦争に突入していくので
ストーリーに引き込まれていきます。
犯人に辿り着くまでは三上も同じような苦しみを
実は私生活では味わっているのでこの事件に対しては
犯人を捜すという任務もありますが、己との戦いでもあったと思うので
苦しい思いをしたと思います。
そして最後の犯人には驚きの展開で締めくくられますが、
一見全て上手くいったと思いますが、
三上の私生活での1つの解決がまだ残っているので
それが気がかりの余韻でした。

この作品では警察組織に対しての問題点もあげたりしていますが、
それだけではなく、警察とマスコミの関係、マスコミのあり方、
家族、夫婦などとあらゆる視点からも考えさせられる事が多いと思いました。

これから警察官がテレビなどで事件の発言などをしているのを
観ることがあると思いますが、そのたびにこの作品のような
日常劇が行われているのかなと想像してしまいます。

警察小説だけでなくミステリーとしても十分楽しめると思います。
647ページととても長い作品ですが、
中身も重厚だと思うのでお勧めです。

作品には登場人物が多く出てくるので、
その関係性なども特設サイトでは分かりやすく書かれているので
こちらを見ると良いかもしれないです。
 横山秀夫『64』文藝春秋特設サイト
  http://bunshun.jp/pick-up/64/


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2013.03.09 Saturday | 読書11:21comments(0) | - | by yumi

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