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有川 浩
角川グループパブリッシング
(2009-04-25)
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有川浩さんの『
海の底』を読みました。
ストーリーは4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。
停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、
喧噪は悲鳴に変わっていた。
巨大な赤い甲殻類の大群が基地を闊歩し、
次々に人を「食べている!」自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、
彼らはなぜか「歪んでいた」。
一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、
機動隊は凄絶な戦いを強いられていく―ジャンルの垣根を飛び越えた
スーパーエンタテインメント。
『
空の中』を読んで面白かったので、
『
塩の街』、『
海の底』の三部作となっているので手に取りました。
『
空の中』よりもSF要素が大きく広がって入っていますが、
それが決して派手ではなく、淡々と広がりを見せて、
そしてSFだけの世界感だけではなく、リアルな世界と繋がっているので
ストーリにどんどんと引き寄せられてしまいました。
潜水艦の中に避難して生活を始める数名の子供達と
海上自衛隊の隊員のコンタクトの仕方は、
初めはぎくしゃくしていたものの数日経つにつれて落ち着きを保っていき、
こうやって子供達は自然に育てられているのかなとも思いました。
逆にいつまで経っても反抗している少年もいましたが、
この少年の心の奥底には家庭環境と母親と言う存在というのがあって
ただのSF小説だけではなく人間模様も描かれているので、
これも引き込まれてしまいました。
そして艦内の中にたった一人だけいた少女の存在。
ただでさえ心細いのに色々なしがらみがあり、
それに耐えながらも艦内で他の人には迷惑をかけないようにと
振舞っている少女がとても印象的でした。
それをさりげなく接していた隊員の姿もつかず離れずで快かったです。
ラストは意外な結末でしたが、ハッピーな終わり方だったので清々しかったです。
この作品では警察、自衛隊、学生、親子の絆などの
それぞれの問題点のある所が浮き彫りになっているので、
現代の日本の欠点も伝えたかったのかとも思いました。
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