吉田修一 悪人

吉田修一さんの『悪人』を読みました。

ストーリーは保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。
彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。
群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。なぜ、事件は起きたのか?
なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか。
揺れ動く2人の純愛劇と家族、友人たちの思いを静謐な筆致で描く傑作長編。

CMを観て気になっていた作品で、深津絵里さんがモントリオール世界映画祭で
最優秀女優賞を授賞したので余計に気になってこの本を手にしました。
吉田さんの作品は初めてです。

それぞれの人物の視点から描かれていて、ストーリーの展開も早いので
それにぐいぐいと引き込まれてあっという間に読み終えてしまいました。
こんなに夢中になって読んだ本は久しぶりです。

土木作業員の清水祐一にも辛い過去があり、その育て親といっても過言でもない
祖母の房枝にも拭えない過去があり、
加害者側にはいくつか複雑な過去があります。
それが事件を引き起こしてしまったとは思えないですが、
祐一はとにかく一人ぼっちになってしまうのが寂しくて、
怖くてたまらなかったのが伝わります。

後に祐一と逃亡することとなる光代との出会いは、
飲み会で酔った時に遊び半分で初めて出会い系サイトでたまたま
新着欄から選んだという些細なことからです。
それなのに祐一からある事を告げられた時にたじろいだものの、
そのまま一緒に行いってしまうという意外な展開。
それもきっと光代の心も寂しかったのかもしれないです。
祐一も本当の愛に飢えていて、光代も愛に飢えていたから
ずっと傍にいられたのかと思います。
お互いの愛が必要だったから支えあっていたのかとも思いました。

被害者にもこの場合は落ち度があったのかと思うことがありました。
携帯サイトから知り合い、知り合った男性と物を扱うかのように
次々と男性と付き合っていたので・・・

けれど残された被害者の両親の様子を見るととてもいたたまれないです。
まだ何処かで生きているんじゃないかと、
何かの間違いではないかと、
何処かで自分に助けを求めているのではないかと、
何かの間違いではないかと・・・
葬儀では親戚などの間で表では気の毒にと言っていましたが、
裏では陰口などを叩いていたのでそれも可哀想でした。
真面目に生きてきた両親なのにそれをあざ笑う、捜査線上の男。
人の悲しみを笑うことが分からない、他の人達も一緒になって笑うのが分からない。
誹謗中傷する人達、ワンドショーのコメンテーターが勝手に決め付けて
話しているのが分からないという気持ち。
被害者の両親の気持ちがストレートに表れているので、
ニュースなどで事件のあった方の気持ちはこんな辛い気持ちなのだと思いました。

この事件は現代社会を映しているように思います。
人の心がだんだんと希薄になり、それから生じてしまった事件。
人は誰でも一人では寂しいのです。
だから誰かに寄り添いたいと思うのです。
けれどその寄り添い方も人それぞれで、本当に心を打ち解けて寄り添いたかったり、
被害者のような人の寄り添い方をする人もいるのかもしれないです。
ただ祐一が本当に一番寂しくてたまらなかったというのは伝わります。
それが変な事から事件に発展してしまうのが、
とても可哀想にも思えました。
私には本当の悪人は犯人だけではなく、犯人に辿りつく人々も悪人に思えました。

悪人』はモントリオール世界映画祭に出品した作品です。
妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、
樹木希林、柄本明ほか出演されています。
悪人の公式サイトはこちらです。
  http://www.akunin.jp/index.html
 
『悪人』予告編プロモです。

映画も機会があったら是非観てみたいと思います。

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2010.09.28 Tuesday | 読書21:23comments(0) | - | by yumi

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