辻仁成 サヨナライツカ

辻仁成さんの『サヨナライツカ』を読みました。

ストーリーは「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを
思い出すヒトとにわかれる。私はきっと愛したことを思い出す」。
好青年とよばれる豊は結婚を控えるなか、謎の美女・沓子と出会う。
そこから始まる激しくくるおしい性愛の日々。
二人は別れを選択するが二十五年後の再会で…。
愛に生きる全ての人に捧げる渾身の恋愛小説。 

映画のCMを観て気になり、この本を読んだ方のブログを読んで
更に読みたくなりこの本を手に取りました。
辻さんの作品は『冷静と情熱のあいだ』を読んで以来です。

本章に入る前に
サヨナライツカという二つの文章があります。
いつも人はサヨナラを用意して生きなければならない
孤独はもっと裏切ることのなり友人の一人だと思うほうがよい・・・・(以下省略)

永遠の幸福なんてないように
永遠の不幸もない
いつかサヨナラがやってきて、いつかコンニチワがやってくる・・・(以下省略)

この文の意味はいったいなんだろう?と思いながら本章に入っていきます。

ビジネスマンの豊には女性には二通りのタイプがあると。
街角で男たちを確実に振り返させるタイプの女とそうでないタイプの女。
確実に振り返させる女が沓子。
だからといって人生において最終的に意味を成すのは、
どちらなのかと・・・
もしかして男性というのはこうやって自然に女性を
見分けているのかなとも思ったりしました。

沓子には嫌な過去があったけれど、豊をひと目見てからほんの少しの
遊び心から二人は本心で愛していたのだと思います。
けれど女性の視点から見ると、婚約者がいるのにこんな事を
影でこそこそとしている豊はずるい男にも見えます。
婚約者がいなければ沓子だけに十分に愛情を注いでも良いと思いますが、
婚約者もいながら、それも仕事先の創業者からの紹介からだから
将来も有望視されていて仕事も私生活も両方とも美味しいところだけ
切り取っている生活をしているかのように見えたので。
男性としては理想なのかもしれないです。

けれど沓子は豊に婚約者がいることも知りながら
このような日々を送っていたので、沓子が「ずるい、君は本当にずるい」
という言葉は少し可哀想な気がしました。
無邪気で予測のつかない冒険的な生き方の沓子は、
豊のような生真面目な人には人生を棒に振り回されたくなかっ
たのかもしれないけれど・・・
と第一部ではタイでの沓子と豊の一生忘れられない出来事の
日々が綴られています。

第二部では二十五年後に再会した二人の事が書かれています。
光とは順調に過ごし仕事も順調に進み出世街道まっしぐらで
何の不自由の無い生活を送る日々。
そんな折、またタイに行くことになり偶然にも沓子と再会。

沓子と再会してからの豊はデジャブーのように沓子の事を気にしますが、
沓子は一見は何もなかったかのように装っていましたが
やはりいつも豊の事を思っていたのだと。

人生は二度と生きることができないというのが、
後半ではとても切なく書かれていました。
沓子の送られてくる手紙にはいつも切々と想いが書かれていて、
そして思いもしない結末に感涙しそうになりました。
自由奔放は若気の至りでもあると思えます。
それより豊への想いの方があまりにも強いですが、
それが二十五年経過したことによって謙虚に振舞われていて・・・

豊が以前質問した「死ぬ間際、君は愛したことを思い出す?
それとも愛されたことを思い出す?」
その回答が書かれていて思わず納得してしまいました。
これを自分に置き換えたらならどうなるかと・・・
多分愛したことを思い出しそうな気がします。
愛されたことは勿論嬉しいし誇りにも思いますが、
愛したことというのは自分の気持ちの方がより強い感じがするので。

男女の揺れ動く愛の形が目の前で繰り広げられているように
書かれていて、とても切ない作品でした。
男性と女性では意見が変わる作品だと思います。

『サヨナライツカ』は同名の作品として映画化されています。
沓子役を12年ぶりの女優業に復帰の中山美穂さん、
ビジネスマンの豊役を西島秀俊さん、
婚約者の光子役を石田ゆり子さんが演じています。
サヨナライツカの公式サイトはこちらです。
 http://sayo-itsu.com/

映画も機会があったら観てみたいと思います。

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2010.09.20 Monday | 読書17:05comments(0) | - | by yumi

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