角田光代 坂の途中の家

角田光代
朝日新聞出版
(2016-01-07)

角田光代さんの『坂の途中の家』を読みました。

 

ストーリーは刑事裁判の補充裁判員になった里沙子は、子どもを殺した母親をめぐる証言にふれるうち、

いつしか彼女の境遇にみずからを重ねていくのだった―。

社会を震撼させた乳幼児の虐待死事件と“家族”であることの心と闇に迫る心理サスペンス。

 

幼児虐待事件という重い題材をテーマにしながら

補充裁判員という立場から自分の事と家族のことに比較しながら

さらに掘り進められていて補充裁判員でさえも

こんなにも重圧のあるものだというのがとても伝わりました。

 

読み始めは軽い気持で読んでいましたが、

公判が進むにつれてまるで自分が裁判員になったかのように思えてきて、

里砂子と同じように自分だったらどうだろうかと考えながら

噛み締めるかのように読んでいました。

 

母親というのは子供を産めば徐々になっていくものだろうと

多くでは語られますが、子供を育てていくというのは

予想外のことやマニュアル通りに行かないことが

日々あることに気付かされます。

子供を産んだこともなく育児もしたことがないので

被告人や里砂子などの心境までには至らないにしても

狭い空間の中で子供と母親とは一対一の関係の中で

どう接していくのかが本当に大変なのかというのが伺い知ることが出来ます。

 

子育ても上手くいかない中で体調の変化、

そして彼女を取り巻く家族関係、特に夫や両親との付き合い方が

この被告人にとってはとトラブルがあり 、

それが秘火に油を注ぐきっかけになってしまったのかとも思えました。

子育てのこどだけでなく夫のちょっとした言動、

特にモラハラについてはこの作品では本当に怖く思えて

本を読んでいる途中から自分自身も変な錯覚に陥り

夫の言動を細かく見てしまいました。

幸いこのようなことはないにしろ、

その日の気分でちょっとしたことの誤解のずれから

夫婦のお互いのずれになってしまうというも怖く思えました。

 

そして里砂子も思っていた通りに裁判で語られていることが、

他人事ではなく誰もが日常的に送っている風景の中の出来事で

それが事件になってしまうというのがなんとも生々しかったです。

 

こんな思いをして女性というのは子育てをしているのかと思うと

脱帽する思いでした。

今の世の中は核家族で人間関係も希薄なので 、

子育てを一人でしていくのは実に孤独で大変かということが分かります。

夫、家族、保健師など身近な人にも本音が言えずに

がんじがらめになってしまこと。

このようなことがならないためにも何処か本音を言える場所が

少しでもあれば救いになるのかと思ったりもしました。

それと同時によくニュースなどでこの手の事件が報道されると

両親を悪く思ってしまう傾向がありますが、

この作品を読んだことでまたいっそう事件の見方や

考え方が変わりました。

 

こんなにも心が鬼気迫る思いがした作品は初めてかと思います。

考えさせられることが多々あり、

読み終わってもまだ整理しきれないところがあり

感情移入100%の社会派エンターテイメントと言わずには

いられない作品で読み応え十分でした。

 

 

それにしても角田さんは子供さんがいないのに

ここまで書くことが出来るなんて凄いと思います。

よく親子関係の作品を書いていますが、

育児経験もないのにこんなにリアルに書けるなんて文才がありすぎです。

この作品も『八月の蝉』、『紙の月』に続く代表作といっても過言ではないかと思います。



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2017.03.26 Sunday | 読書21:48comments(0) | - | by yumi

重松清 ファミレス (下)

重松清さんの『ファミレス 下』を読みました。

 

ストーリーは中学校教師の宮本陽平が見つけた離婚届には、妻・美代子の署名が入っていた。

彼女に問いただすこともできずに途方に暮れる陽平。

そして料理仲間の一博の家では、料理講師のエリカとその臨月の娘がなぜか居候。

陽平と、幼なじみの康文も巻き込んだ出産騒動に。

50歳前後のオヤジ3人それぞれの奮闘の行方は――?

「メシをつくって食べること」を横軸に描き出す、夫婦、家族、友情。

人生の滋味がぎゅっと詰まったおいしい物語。

●2017年1月公開映画「恋妻家宮本」原作

 

それぞれの男性三人衆が女性に翻弄されてピンチになっている所が

何とも面白いと思いましたが、そのピンチも大人になって友達になった

この三人衆で解決が出来たのも良く、

その後の行方も前向きな足取りになったので明るい気持ちになれました。

 

離婚を切り出したり人生の岐路に立つ時期というのは

男性よりも女性の方が割と早く先の事を見据えていたり、

心構えをしているのだということに気が付かされました。

夫婦の場合、男性は仕事に重視しているせいか

五十代を目前とすると先がある程度見えてくるので

周りのことに着目したりするのかもしれないですが、

女性の場合は家庭に密着していることが多いせいか、

子育て、介護などと人と交わっているせいか

理由は定かではないですが男性よりは早目に人生の先の事を

考えているなと思いました。

男性よりも女性の方が自身の身体の微妙な変化からでも考えられるのかとも思ったり。

そんな事なので女性が自分らしく悠々と生きていくというのは

ある意味生まれ持ったものなのかとも思えました。

美代子の場合もおひとり様デビュー気分で行動をしていたので

上巻では理由が分からずにいましたが、

下巻ではその答えが出ていたので少し納得出来ました。

 

「老眼になると近くが見えづらくなってくるってのは、皮肉っていうか、

 うまいことを言っているというか、なんか、わかるな それ。

 これからは遠くをクリアに見るより、

 すぐ近くの手元をしっかりと見るべきなのだろう。

 五十代からの人生は、坂の上の雲を追うよりも、

 足の下の小石にけつまずかないするほうが大切なのかもしれない」

このようは哲学的な事を時々語っている陽平に

思わす納得させられて心を動かされます。

教師として生徒に対する熱意も時には名言があり、

ここぞという時にはきっぱりと語っているところは尊敬してしまいました。

 

現代は飽食時代と言われていて身の回りにでは

コンビニ、スーパー、ファミレスなどと

食に対して困ることが無くすぐ手の届く所に何でもあります。

その一方では孤食が増えていたりと食に対する考え方が本来の事から

逸脱していることがあり、食事の有難さなども失われつつあります。

それから家族団欒という一昔前ならばあたり前だったことが無くなり、

個人ばかりが優先や尊重されてしまい

徐々に家族という形が崩れていくようになってきているような気がします。

 

温かい手料理を食べて大事な人と笑顔を交わせていくことが

家族、夫婦、友達との絆をまた深めていくものだと思わされて

改めて人と食事をするということが大事だということを考えさせられました。

 

また日常では忘れかけている東日本大震災でのことが

この作品では時々出て来てきて、

ここでさらに家族という形、絆というものを再認識させられました。

特に

「過去の思い出が無くなってしまうと、

 これからのことも想像できなくなる」

はとても切ない言葉で重みのある言葉でした。

 

人生の折り返し地点にそろそろ差し掛かってくる頃なので

陽平の言い分、美代子の言い分とどちらも分かるので

読んでいて共感するうことが多々ありました。

人生というのを考えながらこの作品を読むと奥深い所があり、

それとはまた別に若き頃の気持ちも甦ったりとそれぞれの年代の

気持になって楽しめました。

 

 

映画も気になるので機会があったら観てみたいと思います。

 

 

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2017.03.20 Monday | 読書00:21comments(0) | - | by yumi

重松清 ファミレス(上)

重松清さんの『ファミレス 上』を読みました。

 

ストーリーは中学校教師の宮本陽平は、子どもたちが家を出て、

妻・美代子との初めての二人暮らしに困惑中。

ある日陽平は、美代子の署名入りの離婚届を見つけてしまう。

彼女は離婚を考えているのか?

唯一の趣味である料理を通じた友人の一博と康文は、

様子のおかしい陽平を心配するが、彼らの家庭も順風満帆ではなく……。

「人生とは、腹が減ることと、メシを食うことの繰り返し」。

50歳前後の料理好きオヤジ3人を待っていた運命とは?

 

映画「恋妻家宮本」が公開になったということで

原作を読みたくて手に取りました。

 

読む前には陽平と美代子の離婚話が中心のストーリーかと思いましたが、

読んでいったらそうではなく陽平を中心とした五十歳前後の男性達の

翻弄されていく人生を描いたものでした。

この男性三人衆はそれぞれの家庭で問題を抱えていますが、

それが男性自体に問題があるわけでなく

女性に翻弄されているところが何とも面白いと思いました。

 

男性が料理に嵌ると相当凝ったものになると言うのはよく聞きますが、

この三人衆も同じくとにかく美味しさに凝っているので

料理の一つ一つのレシピが細かく表現されているので

美味しさが伝わりこれだけでも料理のレシピ本に

なりそうなくらいの品目で目から鱗ばかりでした。

もしかしたら重松さんはグルメな方なのか料理好きなのかなと

想像をかきたてられました。

 

「メシを作ることは、それを食べる相手の笑顔が見たいと思う。

ってことなんだ。優しさなんだ。

料理を覚えることは、優しさを覚えるってことなんだ。」

などと陽平が食に対して力説しているところは名言で好きです。

 

うだつの上がらない男性陣の一方では、

女性が自分らしく悠々と生きているのが対照的だと思いました。

特に陽平の妻の行動は夫というのを蔑ろまでしないにしても、

何でもおひとり様デビュー気分で行動をしているので

いったいこの人は何を考えているのだろうと今後も気になるところです。

 

この他に陽平の担当クラスの生徒のダンが健気で、

中学生なりにも意地を張っていたりする姿が微笑ましいです。

今後のこのダンの成長ぶりを期待したいところです。

 

ファミレスというタイトルはファミリーレスなのか、

それとも違った意味でのファミレスなのか

それも合わせて男性三人衆の今後の展開が楽しみになります。

 

 

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2017.03.17 Friday | 読書21:47comments(0) | - | by yumi

川口俊和 コーヒーが冷めないうちに

川口俊和さんの『コーヒーが冷めないうちに』を読みました。

 

ストーリーはお願いします、あの日に戻らせてください―。

「ここに来れば、過去に戻れるって、ほんとうですか?」

不思議なうわさのある喫茶店フニクリフニクラを

訪れた4人の女性たちが紡ぐ、家族と、愛と、後悔の物語。

第1話「恋人」結婚を考えていた彼氏と別れた女の話

第2話「夫婦」記憶が消えていく男と看護師の話

第3話「姉妹」家出した姉とよく食べる妹の話

第4話「親子」この喫茶店で働く妊婦の話

 

恋人との別れというのも辛い経験だと思いますが、

やはり家族との別れ、夫婦の間での大事な絆が消されていくということ

そして家族との大切な思い出との別れというのは

何事にも変えられないものがあって

心打つものがありぐっと胸を締め付けられる思いがします。

過去にもし戻れるとしたら

例え難しいルールがあったとしても

それを何としてでも守ってでも

きっとこの登場人物と同じようなことをすると思います。

 

例え過去に戻って未来の状況が変わらないとしても

あの時のあの一言を言っておけば良かったなという

場面には歳を重ねるごとに多くなっていくような気がします。

 

それぞれが未来が変えられなくても

過去に戻って伝えたい言葉。

なぜそこまでして過去に戻るのだろうかと思うかもしれないですが、

それはやはり人の心が変わるからだろうと思えました。

たった一言の大事な言葉が言えないだけで

これだけの人生を変えてしまうのだから

言葉というのは本当に大切だということが分かります。

人生を悔いなく生きるなんて大変なことだとは思いますが、

せめて大事な言葉を発する時には

心を込めて言葉を伝えていきたいなと思われました。

 

ストーリーは好きなのですが、

喫茶店という設定のせいか情景描写が粗削りのようで、

心理的描写なども乏しく全体的に少し物足りなさを感じました。

登場人物の名前もあまり馴染みのないものなので

いま一つ親近感が無く性別が少し分かりずらかった気がします。

 

本の帯や前評判などでは4回泣けますと書かれていましたが、

そこまで感情移入することが出来なかったですが、

センチメンタルな気分にさせられます。

 

とても読みやすくて一気に読めてしまったので

コーヒー好きな方はコーヒーを飲みながら

ゆっくりと読むには良いかと思います。



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2017.03.13 Monday | 読書17:14comments(0) | - | by yumi

小川糸 ペンギンと犬と私

小川糸さんの『ペンギンと犬と私』を読みました。

 

ストーリーは女子四人組で旅したインドでは、ヨガとカレー三昧。

仕事で訪れたパリでは、お目当てのアップルパイを求めて一人お散歩。

旅先で出会った忘れられない味と人々。

でも、やっぱり我が家が一番!

新しく家族の一員になった愛犬と爛撻鵐ン瓩梁圓腸箸如▲僖鵑鮠討い燭蝓△い舛犬のジャムを煮たり。

毎日をご機嫌に暮らすヒントがいっぱいの日記エッセイ。

 

日記エッセイというのを初めて読みましたが、

やはり普通の人とは違う毎日の生活なのでとても素敵に思えました。

普段あまり気にかけていなかったことに目を配ってみたり、

少し違う視点で生活をしてみると

こんなにも暮らし方の感覚が違うのかなと思いました。

食事や料理のことがよく登場してきますが、

それがどれも美味しそうで読んでいてお腹が減ってきてしまいます。

それに付け加え小川さんの丁寧な料理と上手さ加わるので

更にお腹が減ってしまいました。

 

旅の事も多く書かれていましたが、インドでの旅も良かったですが、

北イタリアを拠点としたヨーロッパの旅行記はどれも憧れで

行った気分が味わえました。

ドイツの良さを一度でも味わってみたいのと同時の

ドイツの根底にある精神を日本でも取り入れられたら良いなとも思いました。

 

端々に小川さんの繊細さや品の良さが伝わり、

そして大事なペンギンさんとの微笑ましい光景が目に浮かび、

犬のことが本当に大好きだということが分かり

心が自然にほぐれて和ませられた作品でした。

 

一日を大切に丁寧に暮すというのはこうゆうことかとも思えて

こんな生活を過ごせることが憧れになりました。

暮らしの中で少しでも心にゆとりを持ちながら

好きな物に囲まれるというのが本当に理想な生活だと思います。

 

久しぶりに小川さんの作品を読んで心が癒されたので、

これからもまた作品を読みたいと思います。

それにはペンギンシリーズをまずは読破したいと思っています。

 

 

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2017.03.12 Sunday | 読書17:32comments(0) | - | by yumi

瀬尾まいこ 強運の持ち主

瀬尾まいこさんの『強運の持ち主』を読みました。

 

ストーリーは元OLが営業の仕事で鍛えた話術を活かし、

ルイーズ吉田という名前の占い師に転身。

ショッピングセンターの片隅で、悩みを抱える人の背中を押す。

父と母のどちらを選ぶべき?という小学生男子や、

占いが何度外れても訪れる女子高生、

物事のおしまいが見えるという青年…。

じんわり優しく温かい著者の世界が詰まった一冊。

 

ニベア

ファミリーセンター

おしまい予言

強運の持ち主 の四編の短編集

 

どの話も心がほっこりと温かくなり、

占い師という職業柄もあるのかもしれないですが

どの会話も温かみやユーモラスを感じられていて

読んでいて楽しい気分になりました。

 

特に仕事以外での彼氏との会話にはほのぼののさせられて、

彼女がいかに彼氏のことを想っているという気持ちが表れていて

とても可愛らしい女性だと思えました。

そんな彼女が困った時に温かく見守っている彼氏も素敵だと思えて

この二人の光景が目の前に見えるかのようでした。

 

四編の中でとても印象的だったのが

『ニベア』でした。

小学生の男の子が初めの頃の占いでは子供らしいものでしたが、

それが最終的には父と母のどちらを選んだ方が良いという難題に。

それにはまた深い訳があったりして、

その経緯もまた心が切なくなります。

確かにこの男の子のようにニベアの香りは

懐かしい匂いがするなとは思っていましたが、

それがこの男の子と同じような事を連想させるとは

思いもしませんでしたが、

言われてみればすかさず納得できることなのでしてしまいます。

ニベアの香りが好きだと言う方はみんな同じなの思いを

重ねているのかなと思ったりもしました。

 

初めは占い師という仕事に特に力を入れているわけでもなく

直感でお客さん相手をしていましたが、

様々なタイプのお客さんと接することにより

占い師としても自覚や役割というのがはっきりとしてきて

人間的に成長されている姿も心地良かったです。

 

いくら正しいことでも、

先のことを教えられるのは幸せじゃない。

占いにしたって、事実を使えるのが全てじゃない。

その人がよりよくなれるように、

踏みとどまいる足を進められるように、

ちょっと背中を押すだけ。

 

こんな風に思ってくれる占い師だったらば

私も占って欲しいなと思ってしまいました。

占い師に限らずこんな風に考えてくれるだけで嬉しいかと思いました。

 

久しぶりに瀬尾さんの作品を読みましたが、

また心がほっこりと温まったので、

これからも読み続けたいと思います。

出来ればまたこの占い師シリーズで同じように短編集が出たら

面白いと思うので期待と願望を込めたいと思います。

 

 

 

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2017.03.08 Wednesday | 読書18:34comments(0) | - | by yumi

東野圭吾 夢幻花

東野圭吾さんの『夢幻花』を読みました。

 

ストーリーは 花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。

第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた

黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、

この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。

一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた…。

第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。

 

プロローグからどうやって事件へとなり

それからどうやって伏線になっていくのかと

前半ではあまり検討がつきませんでした。

中盤からは登場人物がどんどんと増え

ストーリーも込み入ってくるのでとても読み応えがあり

引き込まれてしまいました。

 

それぞれの時代で夢幻花に対して宿命を背負ってしまった人達。

この花の言われからこの花を知ったことで

自分の運命までを右往左往してしまうこととは

どんなことだろうかと思います。

まして今までは家族から疎外感を持っていた青年が

まさか先祖代々まで関わっていたという事実に遭遇してしまったら

なんということだろうかと思います。

まさに文中にあったように負の遺産を

背負わされしまったとしか思えないです。

けれど自分の宿命に対して反抗することもせず、

めげずにむしろ受け止めてこの事件の第一発見者だった孫娘と

どこか同じような境遇というところから

一喜一憂しながら事件を追っていく姿は頼もしく清々しかったです。

 

夢幻花によって自ら人生を狂わせてしまった人がいたり、

狂わせられてしまった人がいたりと

夢幻花は古い時代には存在していた花でありましたが、

現代にはあってはならない花だと改めて思い

今でもこの作品の中のように科学の力を使って

自然の摂理を曲げてしまい

また過去のような過ちがなければ良いかとも思いました。

きっと夢幻花と呼ばれる花は

見たくても見てはいけない花なのかもしれないです。

 

東野さんの作品には日常的に知らなかった最先端の科学的なことが

時々ストーリー中に出てくるのでそれを知るだけでも興味深いです。

それに付け加えて様々な登場人物が出きては

惑わされてミステリーとなっていくので推理をする読者としては

目が離せないです。

 

この作品を書くにあたって今までに無く下調べをして

構想をした甲斐がありとても読み応えのある作品でした。

 

 

 

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2017.03.05 Sunday | 読書22:27comments(0) | - | by yumi

山本文緒 なぎさ

山本文緒さんの『なぎさ』を読みました。

 

ストーリーは故郷を飛び出し、静かに暮らす同窓生夫婦。

夫は毎日妻の弁当を食べ、出社せず釣り三昧。

行動を共にする後輩は、勤め先がブラック企業だと気づいていた。

家事だけが取り柄の妻は、妹に誘われカフェを始めるが。

小さな秘密が家族と暮らしに変化をもたらしてゆく。

生き惑いもがきながらも、人生を変えてゆく大人たち。傑作長篇! 

 

夫婦がそれぞれに悩みを抱えているのに、

それが夫婦なのにある一定の隙間で保ち生活を送ってしまう。

そしてそれがとうとう心身共にギリギリになったところで

お互いの悩んでいた所にやっと踏み込むでいくという

よくある夫婦のタイプでもありますが、

これがお互いに信頼していたから言い出せないのか、

それとも信頼できないから言い出せないのか。

これは実際の夫婦でもギリギリのせめぎ合いがあるのでよく分かります。

これが夫婦ではなかったらどんな風な展開になっていたのだろうかと

思ってしまいました。

 

その一方で芸人に挫折し会社員となった夫の後輩が

程良い距離感で上手く付き合いながらも、

一人しきれず夫婦とは違った青年らしい悩みを抱えて

生き方を出していく姿が泥臭いですが

自分に正直に生きている感じが好感を持てました。

 

姉妹で良い仲だと思ったらまたここにも少しの隙間があったり。

その原因にもなっているのがこの家族の秘密があり

これが夫婦の悩みに少し加担したところもあり

前半よりも後半はかなり状況が蜜になってきた場面が

多くて思わずページを捲る手が止まりませんでした。

 

妻が誰にも悩みを言うことが出来ず、

自分の膝を抱えて泣き過ごしていくという気持ちが

とてもいたたたまれなかったです。

側に誰かいるのに誰も打ち明けることができなくなってしまうと、

自分で自分を慰めるしかないかと

大人になればなるほど孤独な世界があるかとこの本でも痛感します。

けれど妻に仕事をはじめてから徐々に本来の自分を

取り戻していく場面は、とても生き生きとしている環状が伝わり

思わずそのまま頑張れと励ましたくなりました。

 

夫婦とのあり方も大事だと思わせる作品でもありましたが、

家族とは別に側にいて誰かいて励ましてくれている人の姿や言葉が

とても心を動かされました。

中でも

「力まなくていいよ。

 生きていくということは、やり過ごすということだよ。

 自分の意思で決めて動いているようでも、

 ただ大きな流れに動かされているだけだ。

 成り行きに逆らわずに身を任すのがいいよ。

 できることはちょっと舵を取るくらいのことだ。」

この言葉に私も背中を押された気持ちなので、

辛く悲しくなった時には思い返したいと思っています。

 

久しぶりに山本さんの作品を読みましたがとても心が温まり、

夫婦、家族をはじめとして全てを取り巻く状況の中で

それぞれに目を向けることに大切さ、

そしてまた前向きになっていこうと思える作品でした。

 

 

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2017.02.27 Monday | 読書14:25comments(0) | - | by yumi

荻原浩 噂

荻原浩さんの『』を読みました。

ストーリーは「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。

でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。

香水の新ブランドを売り出すため、

渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。

口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。

販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、

香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、

足首のない少女の遺体が発見された。

衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。

 

最後の一行が衝撃のラストということを忘れて

そのまま読んでいましたが、

どこかでおや?というところあったので慌てて

またラストをじっくりと読み返したところ

じわっとした怖さがありました。

 

大きなトリックなどはありませんが、

ごく普通のミステリーで、

現実的にもありそうな設定なので 

どんどんとストーリーに入り込めました。

タイトルの「噂」というテーマを上手く取込んでいる作品だと思います。

 

犯人のたった一時的な快楽のために

こんな酷い事件になってしまうというのは 恐ろしく、

読んでいてムカついてく部分があります。

あまりにも残忍なので気分を害する部分もありましたが。

 

荻原さんの作品は何作も読んでいますが、

ミステリーは初めて読みましたが違和感もなく

読みやすくて良かったなと思います。

どんなジャンルでもそつなく書かれてしまうのでさすがだなと思い

益々荻原さんの作品を読みたくなりました。

 


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2017.02.17 Friday | 読書23:36comments(0) | - | by yumi

原田マハ 独立記念日

原田マハさんの『独立記念日』を読みました。

ストーリーは恋愛や結婚、進路やキャリア、挫折や別れ、病気や大切な人の喪失…。

さまざまな年代の女性たちが、それぞれに迷いや悩みを抱えながらも、

誰かと出会うことで、何かを見つけることで、

今までは「すべて」だと思っていた世界から、自分の殻を破り、

人生の再スタートを切る。

寄り道したり、つまずいたりしながらも、

独立していく女性たちの姿を鮮やかに描いた、24の心温まる短篇集。

 

ショートストーリーで読みやすく、

どのストーリーも人生の中で誰もが経験していることが

描かれているので共感しやすいです。

個々のストーリーが一見何も関係のないように思えましたが、

主人公や脇役の人達に共通のあることで繋がっていき

そして話が次々と繋がっているのが見事だと思いました。

 

また文中の端々に優しさのある言葉が含まれていたり、

さりげなく優しさのある言葉に溢れていて

読んでいてとても心が温まったり、

励まさたりと心を動かされっぱなしでした。

 

特に印象に残った作品は夫婦間でのさりげない温かさが感じられた

「ふたりに時計」、「お宿かみわら」、「ひなたを歩こう」、「まぶしい窓」。

その他にも「おでき」、「缶椿」、「独立記念日」。

後半の部分はどれも印象に残り目頭が熱くなりました。

 

自由になるんじゃない、独立するんだ。

ややこしい、いろんな悩みや苦しみから。

自由になりたいな。でも自由ってなんだろう?

人生で挫折や悩み、迷いなどがあった時には

こんな言葉で置き換えてみてはどうだろうかとヒントを貰えた気がします。

 

以前他の作家さんで同じように短編集を読んだことがありますが、

それとは全然違いこんなに情景や素敵な言葉が沢山詰まっていているので

こんな短編集ならばまた読んでも良いなと思えました。

 

様々な女性の悩み、迷いなどからふとした言葉で

また明日に向かって前に進もうという元気が貰えて

本当に清々しく心温まる作品ばかりでした。

単なる心温まる作品というにはもったいないくらいで

それ以上の温かさや勇気をもらえた作品だと思います。

女性だけでなく男性の方にもお勧めな本だと思います。

 

原田さんの作品を初めて読んでこんなに良かったので、

他の作品も是非読んでみたくなりました。

 


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2017.02.07 Tuesday | 読書21:38comments(0) | - | by yumi