佐藤正午 月の満ち欠け

佐藤正午さんの『月の満ち欠け』を読みました。

 

ストーリーはあたしは、月のように死んで、生まれ変わる

──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか?

三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、

その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。

この数奇なる愛の軌跡よ!

さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。

 

直木賞受賞作ということで手に取りました。

瑠璃という女性の生まれ変わりが三人の男性が人生を通して、

過去と未来に交錯して甦るという何処かにありそうな

展開だと思いますが、

生まれ変わりの作品では大概が一人の女性が一回くらいの

生まれ変わりかと思います。

それが三人となっているので、

途中でどの人物がどの生まれ変わりなのかなど

登場人物が多くなっていので頭がこんがらがりそうになりました。

 

けれどいつの時でも生まれ変わりの女性の心は

その男性を想う気持ちの重さがかかわっているなと思いました。

どこか女性が恋愛や愛情に対して引け目を思っていた心が、

この世から去ってしまってもいつまでも相手を思い続けること。

月が欠けたり満ち足りするように、

生まれ変わったり、想いつづけたりと。

 

よく子供の頃に前世の記憶があったり、

お腹の中にいた頃の事を覚えていたりという説はありますが、

それは途中で消えてしまうものですが、

この場合は想いが強くて次々と生まれ変わっても

想いを伝えていくというのが凄い想いの念かと思いました。

それと同時にこの女性の想いというのは

なんとなく理解出来るような気がするので

それがまた切ない想いでもある気がしました。

 

前半はあまりストーリーの展開が無いですが、

中盤から伏線のように色々なことが分かってくるので

それを読むページの手が止まらなく、

最後まで一気に読んでしまいました。

 

このような生まれ変わりと結婚までの経緯を考えると

自分の今までの半生、そして特に結婚に関しては偶然とは

言い難いものが自分にもあるような気がして

何か前世のようなものも少し考えてしまいました。

 

ラストは想像しなかった展開でちょっと

泣かせる台詞でぐっときてしまいました。

これだけ愛されていれば女性としては本望かもしれないです。

この生まれ変わりが達成された場合はどうなってしまうのかという

その後も何だか知りたい気になりました。

 

人を想う一途な気持ちが純粋に綺麗に描かれていると思いました。

一つ間違うとこの一途な思いが怨念などのホラー小説にも

なり兼ねないですがそうではない品の良さのようなものが

文章の中から伝わっていて読んだ後もじわじわと余韻が残り

とても素敵な作品でした。

 

読んだことのない作家さんだったので

この作品をきっかけに他の作品も読んでみたくなりました。

 

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2017.08.13 Sunday | 読書15:48comments(0) | - | by yumi

奥田英朗 我が家の問題

奥田英朗さんの『我が家の問題』を読みました。

 

ストーリーは「夫は、仕事ができないらしい」。

会社のこと、実家のこと、ご近所づきあい……

どんな家庭にもある、ささやかだけれど悩ましい「問題」の

数々をリアルかつ温かく描く短編集。

 

甘い生活?

ハズバンド

絵里のエイプリル

夫とUFO

里帰り

妻とマラソン 

 

甘い生活?

夫のためにと思って甲斐甲斐しく主婦業をしていた妻に対して、

夫は独身生活が長かったせいか息苦しくなってくるという贅沢な悩み。

夫も悪いとは思いつつ隠れて寄り道をしていたけれど、

お互いに気を遣いすぎはよくないかと。

そして二人は夫婦喧嘩を真正面にすることによって

お互いの本当の心が分かり合えて良かったかと思います。

結婚生活の初めの方にはお勧めな作品かと思います。

 

ハズバンド

夫が仕事が出来ないというのを知ってしまい

そのためには美味しいお弁当を持たせた方が良いと思い

健気に励ましているのが微笑ましいです。

生まれてくるお腹の赤ちゃんのためにも

夫のためにも支えているのが良いです。

そしていつの間にかそれが楽しい時間となり

生き甲斐にもなってくるなんて

こんな専業主婦なんて良いなと思いました。

 

絵里のエイプリル

多感な思春期に両親の離婚話を知ってしまうという

なんともスリリングな問題が描かれています。

親に直接聞いて本当の事を知るのか、

もし聞いて本当だったらその後をどうしようかと思い悩む気持ち。

親としての気持ちも分かる年頃でもあるけれど、

まだそこまで一人前ではない心の揺らぎが絶妙でした。

あれだけ悩んでいたのに弟の言葉には意外性もあり

やはり男の子はしっかりしているのだというのを垣間見れた気がします。

 

夫とUFO

夫の口からUFOと交信が出来るようになって・・・などと

訳の分からないことを言い始めたらば普通ならば

気がおかしくなっとか、冗談だろうと思ってしまうと思います。

けれどこの妻が夫と想う気持ちから

意外な発想になりラストには微笑ましい光景になっていて

いるところが可愛らしい妻だなと思いました。

ここまで出来ている奥さんはなかなかいないと思うので感服です。

 

里帰り

名古屋と北海道の里帰りをすることになって、

今まで気が付かなかったそれぞれの地域の特性や

家族、親戚などの付き合い方が分かり

これがきっかけとなり里帰りの良さを見出されています。

自分の新婚当初を思い出させてほのぼのとした気持ちになりました。

 

妻とマラソン

家日和の続編になっているのがこの作品です。

何も趣味や目標のない妻を心配している夫も

良い旦那さんであり、控えめな奥さんが夫をしっかりと

支えているのも良い奥さんだと思います。

普段は表だって何かをするわけではないけれど、

妻が何か成し遂げてみようとする所に家族の先頭を

切って応援してあげようという気持ちがとても羨ましく思えました。

 

夫からの視線で描かれている「甘い生活?」、「里帰り」、

「妻とマラソン」、

妻からの視線で描かれている「ハズバンド」、「夫とUFO」、

そして唯一子供の視点から描かれている「絵里のエイプリル」と

それぞれの視点から夫婦像が描かれているので男性が読んでも

女性が読んでも共感できるかと思います。

 

それぞれの家庭でささやかな問題が起こりますが、

普通にありがちな日常的なことで親近感がわき、

頷かされたり、ほろりとしたりしてとても読みやすいです。

 

夫になる人がどれもユニークな人なので、

こんな夫だから妻がしっかりとして

良い夫婦になれるのかと思ったりしました。

これから結婚する方にはお勧めな一冊だと思います。

 

 

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2017.08.10 Thursday | 読書18:55comments(0) | - | by yumi

宮下奈都 神さまたちの遊ぶ庭

宮下奈都さんの『神さまたちの遊ぶ庭』を読みました。

 

ストーリーは北海道のちょうど真ん中、

十勝・大雪山国立公園にあるトムラウシ。

スーパーまで三十七キロという場所へ引っ越した宮下家。

寒さや虫などに悩まされながら、壮大な大自然、

そこで生きる人々の逞しさと優しさに触れ、さまざまな経験をすることになる。

『スコーレNo.4』の宮下奈都が「山」での一年間を綴った感動エッセイを文庫化。

巻末に、「それから」を特別収録。

 

「羊と鋼の森』を読んでとても良かったので

その後少しずつ読み始めてこちらを手に取りました。

エッセイは初めてです。

 

自然の中で暮らすというのはよく聞きますが、

宮下家の暮した所は北海道の十勝で壮大な大自然の中なので

スケールが大きすぎて想像もつかなかったです。

 

今まで暮らしてきた場所とは全然違う環境の中で

どのようになっていくのかとこちらも山村留学をしている気分でした。

住めば都とはよくいったもので、

環境に不自由があっても無いものが当たり前となっていくのが

目に見えて分かっていくのが面白いくらいでした。

物がなくてもその分目の前にあるすぐ近くの自然が

全部代わりとなって素敵な物へとプレゼントされているように思いました。

 

大人になってこれだけの環境を変えるというのはなかなか出来ないので

とても貴重な経験だと思いますが、三人の子供さんにとっても

とてもプラスになった経験で滞在前よりも立派に成長されたなと思いました。

「教室に座って勉強するより、

 雪山で遊んで身につけることの方が大事じゃないかな」

という言葉に納得です。

宮下さんのそれぞれの子供さんの性格がよく表れていて、

弾むような会話やユニークな会話が微笑ましかったです。

また地域の人とのコミュニティや学校行事などが

一方向だけではなく、家庭と地域と学校といちがんとなって

行われいるのがとても素晴らしいなと思いました。

 

読み始めは子供さんのことばかり書かれていたので、

子育て日記のように思えていましたが、

それがいつの間にか無くなりすっかり最後には

三人の子供さんの応援をしたくなってしまいました。

 

家族の楽しい会話の合間に

宮下さんの社会に対するクールな言葉や人生への教訓になる言葉も

なかなか良かったです。

「チャンスの神様は前髪しかないというけれど、

 チャンスの神様がふさふさであることを思い出す。

 チャンスはまたきっとまた来る。」

この言葉も素敵です。

 

自然の中で生き生きとした姿はどれも良かったです。

やはり人間は自然と共に寄り添いながら暮らしていく方が、

心身ともに豊かになれるとつくづく思わされた作品でした。

 

トムラウシに住んだからこそ「羊と鋼の森」の作品が生まれて、

神さまからのプレゼントで直木賞受賞をしたのかなとも

思えたりしました。

 

 

 

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2017.08.08 Tuesday | 読書17:34comments(0) | - | by yumi

益田ミリ  沢村さん家のこんな毎日 平均年令60歳の家族と愛犬篇

益田ミリさんの『 沢村さん家のこんな毎日

平均年令60歳の家族と愛犬篇 』を読みました。

 

ストーリーは年をとってきた両親と40歳の娘との3人暮らしを

描いた沢村さん家のホーム・コミック。
『沢村さん家のこんな毎日』『沢村さん家はもう犬を飼わない』を

1冊にまとめたお得な文庫版。

仲良く温和な四朗さんと典江さんですが、

お母さんの典江さんが意外にもお父さんに対して突っ込みをしたり、
40代独身の娘に対してもきついひと言などがあったりして
それが良いバランスを取っていて面白いです。

ただ40歳過ぎた頃になった歳なりの
現実的な事が出て来るので共感できるところもありますが、
段々それが切ない思いにもなったりして少し複雑でした。

誰でも歳を重ねるとそれなりに焦りや悩みなどが出てきますが、
そうゆうのをコミックで読むと同じなんだなと思えて

少しほっと出来ます。

両親が早くに他界してしまったので、

高齢になった両親とテレビを観ながら団欒をしたり、

何気ない日常的な会話をするのも良いなと思い

羨ましく思いました。

 

会社のトイレのことはまさに「あなどれない」なくて

思わず納得してくすりとしてしまいました。

確かにこうゆうことはあったなと思い返してみたりして。

人は見かけだけでなく、見えない所も大事だなと思わされます。

特別なことが無くても日々を普通に平凡に過ごせることが

一番幸せなことなんだとつくづく思わされる作品です。

毎日同じことの繰り返しが虚しい日もあれば、

幸せだと感じる日もある。

当たり前のことですが、なんだか深みのある言葉なとも思いました。

 

益田さんの作品は何冊も読んでいますが、
沢村さん家のコミック本は初めてで

他のコミックとは違ってしみじみとして、

どこかほろりとさせられる作品でした。

 

 

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2017.08.07 Monday | 読書14:54comments(0) | - | by yumi

沼田真佑 影裏 

沼田真佑さんの『影裏』を読みました。

 

ストーリーは大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。

交差する追憶と現実。

第157回芥川賞受賞。

 

芥川賞受賞作品ということで手に取りました。

感想を書くのも難しくどこから書いて良いのか分からないくらいです。

 

岩手の自然の情景が繊細に描かれていて、

目に光景が映っているかのように綺麗でした。

それとは反対に淡々と日々の物事が淡々と描かれているので

一体この先には何が訪れるのだろうかと思いながら読んでいました。

 

そして後半に差し掛かった時に考えもしなかったある登場人物の過去。

今まで主人公と釣りを通して親しく付き合っていたものが、

過去を告げられたことによって一瞬にしてその人物像が崩れてしまう。

その落差をどのようにしたら心を埋められるのかと考えてしまいました。

過去の人物像がマイナスのものであったとしても、

現在までの人物像がプラスであったのならば人はどちらを選ぶのか?

それと同時にその人物が現在の状態がどうなっているのかも

分からない状況となると、例え血の繋がりのあ家族であっても

一線を引いてしまうということ。

想像では語ることも出来なくとても複雑な心境になりました。

 

薄い本の割には内容が難しく読解力が無いせいで

何が伝えたかったのかがいまひとつ心に響きませんでした。

時間や場所の移動の幅が激しく時間軸がいまいち把握しにくかったです。

それと一番なのは難しい漢字が多かったのでもう少しルビをふって欲しかったです。

難解漢字が何度も出てくるとそれに囚われてしまって、

ストーリーの邪魔をされてしまい面白さも

少し半減してしまうことがあるので。

 

3.11ということが出てきますが、

他の本では3.11をこのような書き方をしないのでまた印象が変わります。

人それぞれ感じ方は違うかと思いますが、

このようなものだと何かひっかかるものがあります。

悲しみや怒りといったものではなく何か分からないものがある。

それが経験をした人の本当の心境なのかもしれないのですが、

これも難しいです。

 

芥川賞受賞作ということもあるので

これだけの難しさの作品なのかなとも思ったりしました。

文章力はとてもあると思うので、

機会があったら他の作品読んでみたいと思います。

 

 

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2017.08.04 Friday | 読書22:09comments(0) | - | by yumi

奥田英朗 家日和

奥田英朗さんの『家日和』を読みました。

 

ストーリーは家庭内の「明るい隙間」を描く傑作短編集

ネットオークションにはまる専業主婦、会社が倒産し主夫となった夫、

ロハスに凝る妻に辟易する小説家の夫……など。

あたたかい視点で描く新しい家族の肖像。

第20回柴田錬三郎賞受賞作。(鑑賞/益田ミリ)

 

サニーデイ

ここが青山

家においでよ

グレープフルーツ・モンスター

夫とカーテン

妻と玄米御飯 の6編

 

 

サニーデイ ネットオークションにはまる専業主婦の話

ネットオークションをする醍醐味がよく分かり、

思わず家の中の不用品を見渡してしまいました。

くれぐれも本人の大切な物には無断で出品しないことは

これで肝に銘じられた気がします。

これからは専業主婦が家の中の不用品を探して

パソコンに張り付いていて良い思いをしていたら

ネットオークションに嵌っているかもしれないので家族の人は

自分の大事な物をしっかりと手元に置いておいた方が

良いかもしれないです。

 

ここが青山  会社が突然倒産し、主夫になってしまったサラリーマン

主夫になってしまったことから、今まで自分がしてこなかったことに

興味を持ちそれが天職までと思えるほどになるのは転機だったと思います。

仕事が無くなってことによって自分の大切なこと

家族や夫婦の大切さ、環境の大切さなどが分かり

夫婦の絆が良くなったことが伺えてとても清々しい思いがしました。

 

家においでよ  別居生活から理想の生活へと始まった男の話

別居生活から湿っぽい話になるかと思ったらい、

久しぶりの一人暮らし生活になりこれぞ男の憧れの生活

というものを突き詰めていて読んでいて異性でありながら

羨ましさとこうゆう生活で生き甲斐というのも生まれるなと思えました。

ラストには微笑ましくハッピーエンドで心が温まりました。

 

グレープフルーツ・モンスター 変な夢を見るようになった主婦

長年主婦をしていると外部との接点が少なくなるので、

主人公のようにここまでの想像力は働きませんでしたが

同じような事をふと浮かんだりしたことがあるので思わず頷いしまい

くすりと笑えてしまいました。

柑橘系の香りがする人がいたらこれを思い出してしまいそうです。

 

夫とカーテン  夫の事業と妻の才能発揮で夫婦で活躍する

普通ならば夫が仕事を変えてばかりいたら、それはそれで困るのですが、

妻のちょっとした発想の転換から良い方向へと変わっていき、

実はこの夫婦は息の合う二人だったと再確認できたかと思います。

 

妻と玄米御飯  ロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家 

ロハスとまではいかないですが、家族の健康の事を思うと

この妻のようにロハスに嵌ってしまう人もいるかと思います。

夫婦や家族の会話に思わず思い当ることがあり、

どきりとしてしまいました。

この作品はもしかして奥田さん自身のことが描かれているのかなと

思いながら読んでいたのでとても面白かったです。

その後の展開も知りたいです。

 

どの作品もどこにでもある日常的な生活の中にあるので、

とても親近感が持てます。

読み終わった後には心地良く笑えてほっとさせられてました。

こんな作品を読むと家族、夫婦って本当に良いなと思いました。

 

奥田さんの作品は何冊か読んでいますが

ユーモアが程良く散りばめられているので

飽きずに安心して読めます。

 

 

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2017.07.27 Thursday | 読書21:11comments(0) | - | by yumi

短編学校 米澤穂信、本田孝好、中村航他

短編学校を読みました。

 

ストーリーは個性あふれる作家陣が、

大人への階段を上ろうとする人生の一瞬を

鋭くとらえた短編作品10本を集めたアンソロジー。

 

913 米澤穂信

エースナンバー 本多孝好

さよなら、ミ子オ 中村航

タウンター・テコンダー 関口尚

骨 井上荒野

ちょうどいい木切れ 西加奈子

少年前夜 吉田修一

サイリウム 辻村深月

マニアの受難 山本幸久

ねむり姫の星 今野緒雪

 

短編少女、少年と読んで面白く、

今年三部作の短編集の最終ということもありこの本を手に取りました。

今回は学校がテーマだと思い読んでいましたが、

学校というテーマは殆どなく子供から大人への階段を上っている

最中のことが中心で普通のもあればミステリーやSFという

ジャンルもあって色々と楽しめました。

 

前半の作品は割とストーリーも面白く濃厚な作りでしたが、

後半の作品はさらりと読めてしまって物足りさが少々残りました。

 

特に印象的だった作品は「913」、「エースナンバー」、

「ちょうどいい木切れ」、「少年前夜」。

 

「913」は高校の図書館からごく平凡な学校生活でも

始まるのかとも思いきや、金庫を開けて欲しいという先輩からの

依頼から探偵コンビができ、このやり取りも見所ですが、

そこから数字へのトリックや謎解きになっていき

独特な雰囲気の中で解決されていくのが面白かったです。

 

「エースナンバー」はこのテーマにも相応しい

学校での部活が舞台になっています。

単純な青春のスポーツだけではなく、その裏側に隠されていた

当時のエースとしての心境とそれを取り巻いている状況が

当時では思い知ることが出来なかったものが

後になってから本当のことが解明されていくという

何とも甘酢っぱい思いがしました。

けれどこうゆう裏側が隠れて見えないからこそスポーツの良さ、

スポーツ精神の良さがあるのだと思わされました。

 

「ちょうどいい木切れ」はタイトルからは

とても想像の出来ないものでした。

自分の背の高さがコンプレックスになっている主人公が

背の小さな人と出会ってしまうというそれだけの話ですが、

まるで得体の知れない物を追っていくかのような描写は

ドキドキはらはらとしてとてもスリリングでした。

なんだかくすりと笑えてしまうオチが何とも掴み所がない面白さでした。

 

「少年前夜」はとある田舎に住んでいる少年が

少女と付き合っているという普通の光景。

けれどこの少年にはとても暗い過去を背負っていて、

拭い去りたくても出来ないことが

またこの少年を苦しめています。

本当は心の中では寂しくて会いたくてたまらない母親なのに

それが普通の生き方ができなかったせいか、

それも上手受け入れること出来なかったので

とても切なく感じました。

ラストには明るい兆しが見えるような素振りもありましたが、

明確には描かれていないのでこの少年の生き方がとても気になります。

これをきっかけに全てを受け入れて一歩進めれば良いなと思いました。

 

まだ大人にはなりきれない、

粗削りな大人や未熟な大人ならではの

ことばかりなので青春のような甘酸っぱさやほろ苦さなどが

随所に出てきてそれがまた懐かしい気分になったりして

新たな思い出のページを捲っていたようでした。

 

いくつ歳を重ねてもまだまだいい大人にはなれないので、

こうやって初心を戻れるのも良いなと思いました。

 

読んだことのない作家さんが今回は多かったので

これをきっかけに他の作品も読んでみたくなりました。

 

 

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2017.07.24 Monday | 読書17:55comments(0) | - | by yumi

湊かなえ 豆の上で眠る

湊かなえさんの『豆の上で眠る』を読みました。

 

ストーリーは 小学校一年生の時、結衣子の二歳上の姉・万佑子が失踪した。

スーパーに残された帽子、不審な白い車の目撃証言、そして変質者の噂。

必死に捜す結衣子たちの前に、二年後、姉を名乗る見知らぬ少女が帰ってきた。

喜ぶ家族の中で、しかし自分だけが、大学生になった今も微かな違和感を抱き続けている。

―お姉ちゃん、あなたは本物なの?

辿り着いた真実に足元から頽れる衝撃の姉妹ミステリー。

 

 

妹は元々姉に対して劣等感を持っていて、

姉が失踪している期間はそれが無くなるかと思えば、

かえって姉に対しての思いが強くなり

苦しい関係はいつになっても拭いきれなくて読んでいくうちの

妹の結衣子が可愛そうに思えてきました。

 

姉妹というのは仲が良いと人が羨ましがるほどなのに、

この姉妹のように仲が悪い場合だと

こんな風なケースになるのかなと思ってしまいました。

異性の兄弟の微妙な心境というもの垣間見れた気がします。

 

姉が時には妹だけでなく祖母の目から見ても

今までの姉とは明かに違うという思いがしたのは

何かあるのかと思い、真相が徐々に暴かれるまでは

ワクワクして読んでいました。

けれど真相に辿り着くまでにはかなり長かったのでもどかしかったです。

 

それにしてもこの母親の育て方は同じ姉妹なのに

扱い方に差がありすぎたり、

周囲の対して気にし過ぎたり、言わゆる世間体というのを気にしすぎで

こんな母親の下にいるのは心が歪んでしまいそうです。

そんな思いも妹に影響があるように思えていたたまれなかったです。

そんな時にふと寄り添うように祖母さんがいてくれたのが

少し救いだったようにも感じられました。

 

真相を明かすことになってからは

特に劇的なラストということではなかったですが、

結局はある人の親のエゴでこんな苦しい思いをさせられ、

人生を翻弄させられてしまったのかと思うと

妹だけでなく子供たちにとっていい迷惑だったと思ってしまいます。

 

「本ものってなんですか?」

という疑問がありますが、

果たして本物は今まで時間を重ねてきたモノなのか、

それとも科学的に証明されたモノなのか

これは永遠の謎になりそうな気がしました。

 

こうやって疑問を投げかけておいて、

いつまでもそれを気にさせておくというのが

またこの作品のタイトルのモチーフにもなっている

「えんどう豆の上にねたおひめさま」のような

状態にしているのかと思ってしまい

ラストまで気が抜けなく楽しめました。

 

 

どんな作品でも湊かなえさんの作品は読みやく面白い

ミステリーなのでつい手に取りたくなります。

 

 

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2017.07.18 Tuesday | 読書22:50comments(0) | - | by yumi

土井善晴 一汁三菜でよいという提案

土井善晴さんの『一汁三菜でよいという提案』を読みました。

 

内容

食事はすべてのはじまり。

大切なことは、一日一日、自分自身の心の置き場、

心地よい場所に帰ってくる暮らしのリズムをつくること。

その柱となるのが、一汁一菜という食事のスタイル。

合理的な米の扱いと炊き方、具だくさんの味噌汁。

 

目次

一章「今、なぜ一汁一菜か」

二章「暮らしの寸法」

三章「毎日の食事の意味」

四章「作る人と食べる人の関係」

五章「おいしさの原点」

六章「和食を初期化する」

七章「一汁一菜からはじまる楽しみ」 〈一汁一菜の実践〉

・米の合理的な扱いと炊き方

・具だくさんの味噌汁(手早くつくる一人分の味噌汁/すぐにできる味噌汁/季節や場に合わせた味噌汁 他)

・一汁一菜の応用(献立の考え方)

 

 

生きていくためには毎日食べていかなければなりません。

その料理を作るにしても毎日のことなので飽きのこないように、

体調や健康面を考慮してレパートリーを増やさなければ

いけないかと思っていました。

けれどこの本を読んでからはこれまで食に関する思いとは

また異なった思いになり、

料理に対する考え方も変わり少し肩の荷が下りる思いがしました。

 

一汁三菜だから簡単で手抜きが出来るという観念ではなく、

一つ一つを大切にして一食の食事を大事にするという思いが生まれた気がします。

 

とかく今は飽食な時代で食べることに関しては不自由しない時代です。

けれど本当に食べるということは安易に食べるということではなく、

日本人らしい精神にのっとった食事や食事スタイルなどが

大事だということが分かりました。

 

一汁一菜を通して和食の良さ、日本古来の精神など

今まで知らなかった食に関してのあらるゆることが

知れてとても勉強になりました。

特に作る人と食べる人との関係では

こんな関係があるのだと納得させられ、

家庭料理がいかに大事かというのが分かります。

 

食を通しての生き方や物の考え方なども学ぶこともでき、

食というのはこれほどまでも生活に影響を及ぼしているのかと思わされ、

改めて食事の大切さも知ることができました。

料理を作るということに関しても新たな気持ちを持って、

一汁三菜を基本として毎日の食事を大切にしていこうと思いました。

 

日本食は本当に素晴らしいものなので世界にももっと広めていき、

日本でももっと伝統を重んじていきたいものです。

 

食育の本といっても過言ではないので、

お子様のいる家庭やこれからご家族の持つ方には

是非読んでもらいたいお勧めな一冊だと思います。

 

 

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2017.07.17 Monday | 読書16:35comments(0) | - | by yumi

森沢明夫 虹の岬の喫茶店

森沢明夫さんの『虹の岬の喫茶店』を読みました。

 

ストーリーは小さな岬の先端にある喫茶店。

そこでは美味しいコーヒーとともに、

お客さんの人生に寄り添う音楽を選曲してくれる。

その店に引き寄せられるように集まる、

心に傷を抱えた人人―彼らの人生は、

その店との出逢いと女主人の言葉で、大きく変化し始める。

疲れた心にやさしさが染み入り、温かな感動で満たされる。

癒しの傑作感涙小説。

 

この本のカバーのイラストにあるような素朴な物が、

このストーリーの中でも繰り広げられていて、

美味しいコーヒーをどんなお客さんでも丁寧に淹れてくれるおばあさん。

このおばあさんのコーヒーと温かい言葉の不思議な魅力が

何とも癒されてほのぼのとさせられます。

こんなおばあさんになれたらという憧れや

こんな素敵な喫茶店があったら行ってみたいなと思いました。

 

おばあさんのこの温かく優しい言葉があるのには、

今まで積み重ねきたかけがえのないものと

夫をいつまでも想う気持ちと

切なくも素敵な気持ちなどがあるのかなとも思えたしりました。

素敵な気持ちをいつまでも持ちながら生きていく姿というのが

とても微笑ましく羨ましくも思えました。

 

おばあさんの淹れたコーヒーも美味しそうですが、

選曲されたBGMも良さそうなので

この本と合わせて聞いてみたらよりこの作品も楽しめるかと思いました。

 

おばあさんの言葉で印象的な台詞が

「人間って生きているうちに色々と大切なものを失うけれど、

でも一方ではアメイジンググレイスを授かっているのよね。

そのことにさえ気づけたら、あとは何とかなるものよ」

 

「人はね、いつかこうなりたいっていうイメージを持って、

 それを心の中で祈っているときは生きていけるの。

 どんなことがあってもね。

 でも夢とか希望とかをなくして、祈るものがなくなちゃうち、

 つい道と誤ったりするものなのよね」

 

「いろいろあって、自分の未来に夢も希望もないんだったら、

 他人の未来を祈ればいいんじゃない。

 (中略)

 そうゆう人の未来が少しでもいいものになりますようにって

 祈って、そのために行動していれば、

 人はそこそこ素敵に生きていけるのよ」

いつまでもこの台詞を覚えておきたいです。

 

堅苦しい言葉でなく、

優しい言葉で、特別な光景ではなく、

普通の光景と日常生活ばかりですが、

それがかえって親しみやすく心が時ほぐれされるのかもしれないです。

こんな場所と時間を見つけるのは現実的にはなかなか難しいですが、

この本では心をいつでも癒すことが出来ると思うので

そんな時にお勧めな一冊です。

 

 

森沢さんの作品は以前「あなたへ」というのを読んでいました。

これを読んでからは年月がだいぶ経ってしまいましたが、

同じように心温まる作品なのでこれからは更に多く読みたいと思います。

 

 

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2017.07.14 Friday | 読書21:50comments(0) | - | by yumi