三浦しをん あの家に暮らす四人の女

三浦しをんさんのあの家に暮らす四人の女を読みました。

 

内容

ここは杉並の古びた洋館。

父の行方を知らない刺繍作家の佐知と気ままな母・鶴代、

佐知の友人の雪乃(毒舌)と多恵美(ダメ男に甘い)の四人が暮らす。

ストーカー男の闖入に謎の老人・山田も馳せ参じ、

今日も笑いと珍事に事欠かない牧田家。

ゆるやかに流れる日々が、心に巣くった孤独をほぐす同居物語。

織田作之助賞受賞作。

 

ドラマ化されるので手に取りました。

 

年代の違う女性が4人で暮らすというだけで、

何かが起こりそうな気がしてワクワクしながら読みました。

序盤は何気ない日常生活ですが中盤になり、

ストーカー男の話や佐知の両親の馴れ初め、

そこから佐知の父親の話題になっていき

現実的な世界からファンタジーの世界にように変わっていき、

ユニークな描かれ方で面白かったです。

 

女ばかりで住んでいる家を第三者として

外から眺めながらも、しっかりと心の中まで読み取って

大切な人を見守りながらいる存在がとても

この作品の特徴でもあり面白さだと思いました。

それにより、この家に男が住んでいなかったり、

登場人物で男性が少なくても男性や父親像というものが

しっかりとインプットされているような気がしました。

ラストの2行にはほろりとさせられました。

 

女だけの会話では世代を問わずにざっくばらんに話せて、

まるで女子高生のような思春期のような会話は

いつの時代でも変わることなく、

女性同士のこんな共同生活、共同する場所があったとしたら

どんなに楽しいかと思ってしまいました。

 

会話の端々に素敵な言葉がありましたが、

中でも

いつか喧嘩別れをするかもしれない。

特段の理由のなく、

いつかなんとなく疎遠になってしまうかもしれない。

けれど、「いつか」の未来を恐れて、

夢を見るのもやめてしまったら、おとぎ話は永遠におとぎ話のままだ。

孵化せず化石になった卵みたいに、現実化する道は閉ざされる。

(中略)

夢を見ない賢者よりは、夢見る馬鹿になって、信じたい。

体現したい。おとぎ話が現実に代わる日を。

というのが印象的でした。

 

読了後に本の表紙を見てみると

この作品のヒントが隠されていてなるほどと頷いてしまいました。

 

とても読みやすくテンポのある会話が楽しめたので、

映像化にはぴったりな作品だとも思うので

ドラマが益々楽しみになりました。

 

 

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2019.09.10 Tuesday | 読書16:06comments(0) | - | by yumi

垣谷美雨 あなたのゼイ肉、落とします

垣谷美雨さんのあなたのゼイ肉、落としますを読みました。

 

内容

ダイエットは運動と食事制限だけではない。

大庭小萬里はマスコミには一切登場しない謎の女性だが、

彼女の個別指導を受ければ、誰もが痩せられるという。

どうやら、身体だけでなく「心のゼイ肉」を落とすことも大事なようだ……。

身も心も軽くなる、読んで痩せるダイエット小説。

 

ケース1 園田乃梨子 49歳

ケース2 錦小路小菊 18歳

ケース3 吉田智也 32歳

ケース4 前田悠太 10歳

 

ケース1

若い時には痩せていて綺麗な人だった女性が

中年になり徐々に太ってしまいダイエットをしても痩せないという依頼。

過去に囚われすぎる。

そして今の全ての環境に囚われすぎ。

今をじっくりと見つめ直し、 これからの未来も見据えるという教え。

外見だけでなくしっかりと内面も磨くということ。

人間力を養う。

どれも納得させられるアドバイスで納得してしまいました。

 

ケース2

女子大生が将来と環境に左右され、

若い頃にありがちな悩みを持ちながらの依頼。

大学生になる頃だったら親を少々裏切っても 期待されたり、

レールを置かれた通りに生きるのではなく、

自分のしたいことをして未来を見据える。

そろそろ親を裏切っても良い年頃でしょう。というのが印象的でした。

 

ケース3

交通事故で脳に障害を受けてしまった男性からの依頼。

以前の記憶が無くなり取り戻すまではどうなるかと思いましたが、

取り戻したら嫌な過去まで取り戻すとはちょっと厳しい現実を

突きつけられて可哀相な気がしました。

自分はいったい何が本当に好きなのか、

どうしたいのか、人に影響されず、

自分に正直な気持ちを大切にすること。

男性の明るい未来を一緒になって歩んでくれる人が

出来て本当に良かったと思えました。

 

ケース4

身体的な事や育っている環境などで小学生の男の子が

いじめにあっていてこれを解決したいという依頼。

この男の子がお母さんにも優しく純朴で

辛いことにぶち当たっても自分なりに解決をして

努力している所がとても好感を持てて応援して

あげたくなる気持ちになりました。

アドバイスを受けてからもめげずにどんどんと料理の腕もあげて、

何でも自分でこなすようになり、

学校の友達などとの付き合い方も変わり、

未来のある少年がどんどんと明るくなっていく姿が

微笑ましかったです。

 

世代や性別でダイエットをして

今の自分から変わりたいという気持ちが同じですが、

根底にある悩みはそれぞれ違うので

それによって的確なアドバイスをして心も身体も

すっきりとさせていくところは見事だなと思いました。

それぞれのアドバイスがまるで自分の身に置き換えても

アドバイスされているようで読んでいくうちに

自分の心も少し整理されたきた気がしました。

一度で良いからこんなアドバイスを受けてみたいです。

 

垣谷さんの作品は3作目ですが、

読むたびに人生における心得、生き方へのアドバイスや

素敵な言葉沢山詰まっているのでこの他の作品も読みたいです。

 

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2019.09.01 Sunday | 読書22:37comments(0) | - | by yumi

村山由佳 ラヴィアンローズ

村山由佳さんのラヴィアンローズを読みました。

 

内容

咲季子は、フラワーアレンジメント教室を開くカリスマ主婦だ。

俺はお前さえいればいいんだよ―夫・道彦はそう言いながら、門限9時、

男性との打合せを避けるといった厳格なルールで私を縛る。

そんな歪んだ愛を振りかざす夫に疑問を持ちながらも愛していた。

ある日、年下のデザイナー堂本と出逢うまでは…。

自由を求めて、新たな一歩を踏み出す女性の光と闇を描く衝撃の長編サスペンス!


主人公の咲季子の夫のモラハラの発言と細部にまでわたる

潔癖で束縛する態度が腹ただしくてたまらなくかったです。

好きで結婚をしたのにここまで妻をさげすましてみたり、

女として接していなかったことにも許せませんでした。


それとは裏腹にフラワーアレンジメントに熱心に情熱を

傾けている咲季子の行動は明らかに夫かの束縛から

少しでも逃げだしたいという気持ちの表れでだったと思います。

 

村山さんの作品は描写が細かくて、

特に今回はフラワーアレンジメントということで

庭に咲いている花や活けてある花に対しても

花が生きているかのような描写で、

薔薇の庭園での描写ではフランスの庭園を思わせる

華やかさがとても印象的でした。

それがこのミステリーでは明暗を表しているかのようで

薔薇の儚さと咲季子の心の情熱さをだとも思えました。

 

中盤からは咲季子が徐々に自分の世界から

抜け出そうとしているのが良かったですが、

そこからふとしたことでこんな結末になるとは

思いもしなくて、頼りになる堂本ももう少し前に

出てくるのかと思いましたが中途半端な所が残念でした。

 

近くで接していた女性編集長ですが、

時々咲季子に助言する言葉

「自分自身と自分の仕事にもっと誇りを持ちなさい。

夫婦として家庭の中で夫を立てたり意見を

容れたりするのはかまわないし、

必要なことでもあるでしょう。

(中略)人生を、簡単に人に明けわたしちゃ駄目。」

これがとても印象深いです。

 

咲季子は自分の世界を打ち破ることで

こんな結末になってしまったけれど、

女性として一度だけでもこれほど一人の人を

愛することが出来たという満足感が

あったからこそ潔く諦めることが出来たのかとも思います。

きっと女性というのは燃えるような恋をしたという

一つの宝物があればその宝物を

一生思い出したながら生きていけるものなのかと思ってしまいました。

 

大人の恋愛、女性の愛情というのは奥深く難しいものだと

今回も村山さんの作品で知ったような気がしました。

 

 

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2019.08.27 Tuesday | 読書15:50comments(0) | - | by yumi

瀬尾まいこ 優しい音楽

瀬尾まいこさんの優しい音楽を読みました。

 

内容

混雑した駅中、彼女は驚いた様子でまっすぐ僕の方へ歩いてきた。

それが僕たちの出逢いであり、恋人同士になるきっかけだった。

でも、心も身体もすっかり馴染みきったある日、唐突に知ってしまう。

彼女が僕に近づいた理由を―。

(表題作「優しい音楽」)ちょっと不思議な交流が生みだす、

温かな心の触れ合い。幸福感と爽やかな感動に包まれる短編集。

 

優しい音楽 

突然女の子の告白から恋人同士になり、

彼女の家に遊びに行った所から思わぬことが。

一度は兄と似た人だから近づいたという思いもしましたが、

読み進めるとその思いだけではないということが

分かってきて更に彼女の深い思いが見えて

思わずほろりとさせられてしまいました。

彼女の家族も余計な思いをさせないように

分け隔てなく付き合っていた雰囲気も良かったです。

最初から最後まで彼女の個性的な雰囲気が印象的でしたが、

これが逆にインパクトがあり、

こんなに幸せな時間な優しい時間の流れなのかと思いました。

 

タイムラグ  

不倫相手の子供のお守をさせられるという、

ドラマにありそうな設定です。

女の子の何一つブレない卒直さや物怖じしないのが

子供らしく可愛いかと思かったです。

不倫相手の妻を困らせるのかと思いきや反対になったりして、

彼女と女の子の不思議な関係の時間の過ごし方も

ほのぼのとして面白かったです。

子供は口では言わないけれど、家庭こと、両親のことを

しっかりと見ているのには感心してしまいました。

 

がらくた効果

同棲していた彼女が興味を持ったものは

何でも手につけたくなってしまい家の中はがらくただらけ。

そこへ思わぬ来客が・・・

という物語の展開で、三作の中で一番ユニークな設定でした。

家の中にまるきり他人の人が入ってきたらどうなるのかと思いきや。

やはりここで違和感のなかったのは佐々木さんの人柄の

良さだったのかと思います。

だから彼女も連れてきてしまったのかとも思えました。

佐々木さんが来てからの毎日が通常とは違くなって

二人の生活を新しくさせるというのがまた良かったです。

それにしてもふとしたきっかけから佐々木さんが

いなくなってしまったので、

その後どうなってしまったのか気になります。

 

どれも現実ではあり得ない設定ですが、

それぞれの登場人物が丁度よい距離感で心が和みます。

瀬尾さんの作品を何冊か読んでいますが、

読んだ後には人が愛おしく、

家族って良いなと思えて幸せな気持ちになれるので

心が疲れた方にはお勧めだと思います。

 

 

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2019.08.22 Thursday | 読書14:34comments(0) | - | by yumi

垣谷美雨 女たちの避難所

垣谷美雨さんの女たちの避難所を読みました。

 

内容

九死に一生を得た福子は津波から助けた少年と、

乳飲み子を抱えた遠乃は舅や義兄と、

息子とはぐれたシングルマザーの渚は一人、避難所へ向かった。

だがそこは、“絆”を盾に段ボールの仕切りも使わせない監視社会。

男尊女卑が蔓延り、美しい遠乃は好奇の目の中、

授乳もままならなかった。

やがて虐げられた女たちは静かに怒り、立ち上がる。

憤りで読む手が止まらぬ衝撃の震災小説。

 

東日本大震災をモチーフしたと思われるフィクションですが、

段ボールの間仕切りの無い避難所や津波の被害、

女性に対する見えない事件なども報道などで聞いたことが

あるものばかりだったのでノンフィクションだと思って読んでいました。

なのでとても読んでいて胸が痛く詰まる思いになり、

前半の地震が起きてからの様子は途中で目頭が熱くなったり、

亡き人達との対面では辛くて文字を追うのが辛かったです。

それほどまでに震災に対して詳細に描かれていたので、

被災してしまった人達はどんなに辛い経験を

したのだろうかと更に思ってしまいました。

 

震災だからこうゆう時こそ生き残った人達で

「力を合わせよう」とか「和を乱すな」、

「絆を大切にしよう」とまとまりをつけようとしますが、

これがかえって被災した方には負担になっているということが

改めて分かりました。

もう既に頑張っている人達に頑張ってと言っているものと

同じようだと思えました。

 

三人の女性の視点から震災の避難所が描かれいて、

一見震災がきっかけで人生が変わったようにも思えましたが、

ある女性の言葉でそれは以前からあったことで、

被災したことによって更に浮彫りにされたと思います。

とある女性の言葉で

「男尊女卑も震災前からそうでした。

日本の社会っていうのは、女の我慢を前提に回っているもんです。

それに、男の人が年寄りに遠慮して物がいえないのも前から

そうでした。農業の後継者がいなくなるって騒いでいる人も

いますけど、後継者がいないのはずっと昔からだし、

お米が余って減反しているのだって、私が生まれる前からです。」

とありますが、これがまだ日本のあらゆる所で

存在しているというのが的確に描かれていると思いました。

 

年齢も環境も違う三人の女性が最悪な環境の中でも、

自分のため、子供の将来のために真剣に考えて

互いに助け合いながら新しい土地で

新たな未来を見つけて進んでいく姿には勇気づけられました。

ラストの遠乃の言葉には思わずほろりとさせられて涙をそそられます。

 

それにしても「女」ということだけ理不尽な扱いを受けるという

ことが、こんなに腹立たしく、悔しく、憤りを感じたのは

この作品が初めてかもしれないです。

 

テレビや新聞などで様々な震災の報道はされていますが、

それでもまだ語られていないことは多々あり、

避難所生活でのことは生活してみないと分からない

苦労が沢山ありこの作品によって知ることが出来て良かったです。

地震に限らず自然災害の多い国の日本なので、

このような作品を多くの人達に読んでもらいたいと思いました。

 

 

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2019.08.18 Sunday | 読書22:40comments(0) | - | by yumi

新海誠 天気の子

新海誠さんの天気の子を読みました。

 

内容

全世界待望の新海誠監督最新作『天気の子』、

監督みずから執筆した原作小説 高校1年の夏、帆高(ほだか)は離島から家出し、東京にやってきた。

連日降り続ける雨の中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は不思議な能力を持つ少女・陽菜(ひな)に出会う。

「ねぇ、今から晴れるよ」。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――。

天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。

長編アニメーション映画『天気の子』の、新海誠監督自身が執筆した原作小説。

 

「君の名は。」に続き映画がヒットしているというので

興味深いので手に取ってみました。

 

今回も映画のノベライズ本のような小説でしたが、

前作よりも描写が細かく描かれていたかと思います。

 

主人公の帆高の離島から来た高校生らしい素朴な心理的描写、

思春期らしい大人に対する心情、憧れる女性に対する淡い恋心などと

大人になって忘れかけていたあの頃の思いが

よく描かれていると思いました。 

そして気象状況も細かい描写で描かれていたので、

映画をまだ観ていない自身でも想像しやすく

そんな光景が綺麗だなとも思いました。

きっと映画を鑑賞された方だったらよく分かるかと思います。

 

天気の子ということだけあって

気象状況にまつわることが様々書かれていたのが印象的ですが、

その中でも

「空は海よりもずっと深い未知の世界だって。

人類が直接目にした部分なんてほんの一部で(中略)

空と生き物を切り離して考えることが不自然なんだって!」

という言葉が特に印象的です。

 

この作品を読んでから空を見上げると

より自然環境のことが気になったり、

長期間雨の日が続くとうっとおしい思いがしていましたが、

それも「もともと世界が狂っていたんだ」

と思うことによって少しは気分が変わる気がしました。

 

よく未来の気象状況などを見ると

温暖化現象から砂漠化になるかと予想されたりしますが、

この作品ではその反対に描かれていたので

それが少し意外性があって面白かったと思います。

 

とかく歳を重ねると主人公のようなまっすぐな気持ちで

何かに突き進んだり、壁にぶつかっていくことが

出来なくなってしまうので、

このような気持ちが大事だということを思い出すことが

出来たような気がします。

 

主人公を取り巻く登場人物のそれぞれの個性が

よく出ていて人間的に出来た人ばかりだったので、

あまり罪悪感の無いのも

読了後に爽快感があるのかもしれないと思いました。

 

小説よりもこの作品の場合はやはり映画の方が

絶対に良いと思うので、

映画を観る機会があったら観てみたいと思います。

 

 

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2019.08.14 Wednesday | 読書18:48comments(0) | - | by yumi

吉田修一 犯罪小説集

吉田修一さんの犯罪小説集を読みました。

 

内容

人はなぜ、罪を犯すのか? 人間の深奥に潜む、弱く、歪んだ心。

どうしようもなく罪を犯してしまった人間と、

それを取り巻く人々の業と哀しみを描ききった珠玉の5篇。

2007年『悪人』、14年『怒り』、そして……著者最高傑作の誕生

 

実際に起きた犯罪がモチーフのされて5つの事件が描かれています。

 

青田Y字路 

少女疾走事件 

ある事件を回想させていていたたまれない気持ちになります。 

 

曼珠姫午睡 

同級生が事件が起こしたことから専業主婦が殺人事件に魅せられる

同級生の事件から過去にまで遡り事件の真相に

踏み込もうとする心情がドキドキ感をそそります。

 

百家楽餓鬼 

マカオのカジノ賭博に嵌る御曹司が借金を繰り返す

その反面妻は難民キャンプに精を出していて、

夫婦で真逆な生活を送っているのがおかしく思えます。

 

万屋善次郎 

限界集落で起きた殺人事件

飼っていた大きな犬の最後が印象的です。

これは飼い主の代弁がしたかったのかと思うと切なくも思えます。

 

白球白蛇伝 

プロ野球で活躍して選手が束の間の夢からどん底に落ちていく

お金の事で子供が巻き添えになってしまうのは

可哀相だとつくづく思えます。

その前に何か手立てがあったのかと思ってしまいます。

 

タイトルを見たら長編だと思って手に取ってみたら短編集でした。

それぞれの事件は心理描写、情景などが細かく書かれていて

犯罪を犯すのも犯さないのも紙一重というのがよく分かりました。

けれどラストははっきりと描かれず、

何となく尻切れトンボのような終わりなので

イヤミスまではいかないですがすっきりとしなくてちょっと残念でした。

以前悪人などを読んでパンチのある作風とは違って物足りなかったです。

 

印象深かった作品はやはり青田Y字路と百家楽餓鬼で

どちらも集団心理が増幅されるととても怖い事件に

繋がる要因になることがうかがい知ることが出来ました。

 

このような作品を読むと犯罪というのは

特別な人が起こすものではなく、

ごく日常にありふれた生活の一部からなるということが

よく分かり、だからこそ怖いものだというのが分かりました。

 

映画では「楽園」となりますが、解説にあったように

テレビを観ている人達にとっては事件のことも真実のことは

突き詰めず、ドラマや絵空事のように事件楽しんで

一時的なものだと捉えているからこのようになるのだというのが

まさに現代の風潮だなと思いました。

映画化されるとなるとどのように描かれるのか楽しみです。

 

 

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2019.08.11 Sunday | 読書17:35comments(0) | - | by yumi

今村夏子 むらさきのスカートの女

今村夏子さんのむらさきのスカートの女を読みました。

 

内容

近所に住む「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性のことが、

気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、

自分と同じ職場で働きだすように誘導し……。

『こちらあみ子』『あひる』『星の子』『父と私の桜尾通り商店街』と、

唯一無二の視点で描かれる世界観によって、

作品を発表するごとに熱狂的な読者が増え続けている著者の最新作。

 

芥川賞受賞作品ということで手に取りました。

 

むらさきのスカートの女をまるですぐ側で見ているかのように、

言い換えれば密かに覗いているかのような描写で

とてもゾクゾクとして不気味でした。

でもそれが同じ職場で働くように誘導していたり、

様々な所でこの女性に関わっていったりしているのが

どんどんとひっかかってしまいました。

何故この女性と友達になりたいのかと・・・

けれどそんな疑問とは裏腹に物語は淡々と進んでいき、

むらさきのスカートの女が怪しい存在だと思っていたのが、

ラストになり逆転して怪しい存在の正体が

まんまと騙されました。

 

芥川受賞作品を何冊か読んでいますが、

これが芥川賞作品とは少し驚きです。

以前読んだ「星の子」も独特の世界感でしたが、

こちらはそれ以上に独特な世界でホラー作品のような印象でした。

 

「わたし」という言葉に惑わされて

それが色々な人物の視点に変えられて

物語の引き込まれ具合も変わってくるのかと思いました。

「わたし」というトリックを上手く使われた作品だと思いました。

今後も目の離せない作家さんになりそうなので、

その他の作品も注目してみたいと思います。

 

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2019.08.06 Tuesday | 読書15:27comments(0) | - | by yumi

垣谷美雨 老後の資金がありません

垣谷美雨さんの老後の資金がありませんを読みました。

 

内容

「老後は安泰」のはずだったのに!後藤篤子は悩んでいた。

娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費…

しっかり蓄えた老後資金はみるみる激減し、夫婦そろって失職。

家族の金難に振り回されつつ、やりくりする篤子の奮闘は報われるのか?

ふりかかる金難もなんのその、生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説。


夫が定年間際の夫婦。

老後の事を考えようとしていたアラフィフの主婦が次々と

予定外の事が表れ奮闘するというストーリー。

前半は娘の派手婚、舅の葬儀、姑の生活費をはじめとしての仕送り、

などとどこの家庭にてもありそうな出来事が盛沢山にあり、

そのことに対してて悶々とした思いがかなり

描かれていたので読んでいても沸々とした思いになってしまいました。

この先も愚痴のように永遠とラストまで続いていくのかと

思ってしまいましたが、ひょんなことから節約生活には拍車がかかり、
姑と一緒に同居することから一転していくところから

この作品の面白さが出てきて、思わず一気にに読んでしまいました。

 

一見上品で昔気質の姑さんだと思っていた姑が、

身近で接していくうちに実は一枚も二枚も上手な人で

時には可愛らしい部分も見せたりして、

姑ともやりとりの光景はとてもとても痛快でした。


人は見かけだけでは分からず、
華やかで優雅な生活を送っていても
心の中では寂しかったり、大変だったりと人それぞれ。
けれどそれにも負けず、寄り添える人達が集まれば
難しいことも解決できるのだと思えました。

先々の事を心配するよりも

案ずるよりも産むが易しとは

このような例えだなとも思えました。

最近のニュースでも老後の資金には

最低でも2000万の貯蓄はないと
生活が出来ないと言われていたので、

老後の事をかなり切実に考えていましたが、
この作品でユニークな方法で節約の仕方も学ぶことが

できたり、発想の転換なども出来て良かったです。

まだ老後が存在である若い世代でも、

いつかは訪れる老後についてリアルに考える事が出来るので、

同世代の方はもちろん若い世代の方にも読んでもらえると

良いと思います。

 

主人公のように小心者で神経質な性格ですが、
小心者は小心者なりに地道にしっかりと地に足をつけて

生きていけばきっと未来は開けるとも思える作品でもありました。

 

まだ垣谷さんの作品を読みはじめたばかりなので、

他の作品も益々読みたくなりました。

 

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2019.08.03 Saturday | 読書17:18comments(0) | - | by yumi

湊かなえ 絶唱

湊かなえさんの絶唱を読みました。

 

内容

五歳のとき双子の妹・毬絵は死んだ。生き残ったのは姉の雪絵―。

奪われた人生を取り戻すため、わたしは今、あの場所に向かう(「楽園」)。

思い出すのはいつも、最後に見たあの人の顔、取り消せない自分の言葉、

守れなかった小さな命。あの日に今も、囚われている(「約束」)。

誰にも言えない秘密を抱え、四人が辿り着いた南洋の島。

ここからまた、物語は動き始める。喪失と再生を描く号泣ミステリー。

 

楽園

約束

太陽

絶唱 4篇収録

 

短編集なのかと思いましたが、

阪神・淡路大震災で被災した4人の女性とトンガに住む女性が

思わぬ所で繋がり、それぞれの視点を通して

人生の喪失と再生を描いたもの。

 

湊さんというとイヤミスが多いので、

それを期待して読んでいましたが、

それとは全然違うタイプで、舞台も日本だけでなく

海外が舞台になっているということも珍しさを感じました。

 

どの女性も震災によって心身共に失ったものがあり

歳月がいくら流れてもその痛みや傷がなかなか癒えない

心の辛さがとても表れていました。

特にラストの「絶唱」は震災当時のことが、

時間ごとにリアルに描かれているので、

もしかしたら湊さんが経験されたことが

ここに描かれているのかと思ってしまいました。

特に

「わたしは出震大学を訊かれるのが嫌いです。

わたしが兵庫県の大学に通っていたことを知ると、

逆算して、震災のときはどこにいたのかと十中八九訊かれるからです。

(中略)

私は(僕は)あのとき、と自分のことを語りたがるのは、

境界線のもっと外側にいた人ばかりなのです。」

 

そして自分ではなく、なぜ大事な人が、

あの人が亡くなってしまったのかと

いう理由をを求めてながらずっと生きていくという苦しみが

あるということがこんなにも辛いということが

とても胸の詰まる思いがして、今さらながら被災した方の気持ちの

本音を聞いたような気がしました。

 

トンガの風習や文化なども登場しますが、

特にトンガの宗教性や死生観が描かれていて

日本とは違った価値観も知れてとても興味深いものでした。

 

震災さえなければ・・・という言葉がとても心に残り、

これからいくつもの自然災害が起こるたびに

この言葉を思い出してしまいそうです。

 

登場人物が多くて所々分かりづらい部分もありましたが、

今までにない湊さんの世界が味わえて、

震災を風化させてはいけないと

今まで以上に強く思えた作品でした。

 

 

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2019.07.25 Thursday | 読書23:45comments(0) | - | by yumi